ミヤコバンカー(ミヤコカブリダニ)の説明会 [講演会]
梨にはハダニという重大害虫がいます(写真1)
従来農薬で対処してきたのですが、抵抗性の獲得や都市化による薬剤散布のしにくさなどから駆除が難しくなってきています
そこに近年研究が進んでいるのが天敵資材です
ミヤコバンカーはハダニの天敵であるミヤコカブリダニを利用した資材です。発売から1年以上を経過しました。仲間たちの間でも良い評価をされているミヤコバンカーの説明会を聞いてきました
ミヤコカブリダニは果樹害虫である植物ハダニを捕食する天敵資材として注目されています
ミヤコカブリダニは温室など環境が制御できる施設栽培においては、技術的に確立されていましたが、露地栽培ではその確立が遅れていました。
最初はミヤコカブリダニをフリカケのように植物に放飼することから始まり、進化したミヤコバンカー(写真2)では餌や
保湿剤がセットになりました。安定的に天敵が供給されハダニを捕食するように工夫されています
梨の木の地上1メートルくらいのところに、吊るしてゆけばいいわけで、設置もとても簡単です。
しかし、天敵資材の難しさは、生き物であるがゆえに、環境に左右され意図していない行動をしてしまうことです
この資材を成功させるには、設置するだけではなく、いくつかのポイントを押さえることが重要なようです
今回、ミヤコバンカーの製造元 石原産業の説明を聞き、重要と感じた点をまとめてみました
■ミヤコバンカー設置・設置後の注意
① 湿度は好きだが水が大苦手(パック製剤が濡れると天敵は死滅します)。水害の発生しない場所へ設置
② 活動しやすい環境下で放飼する→17度前後の気温が最も定着が良い。またこの温度は定着数を増やすこともわかっている 例) 日陰、北側、
③ 活動しやすい湿度80%以上を昼夜キープするため、吸水ポリマーを封入する
■総合的な防除を鑑みたときの注意
1.設置時期(天敵影響の大きい薬剤散布から十分時間を経ているか。また、設置前にダニ剤によるクリーン作戦を実施したか)
2.ダニ剤のスケジュール防除(ハダニが増えた時ではなく「増加盛期」には天敵保護できるダニ剤を必ず散布する)
3.フェロモン剤と殺虫剤の施用時期を組み合わせたシンクイムシ類対策
4.サビダニ対策 適期の Mフロアブル利用
5.カイガラムシ対策 適期の Tフロアブル利用
以前より減農薬防除のための防除暦はありましたが、天敵資材を活用するには、専用の防除暦が必要で、その確立もすぐそこまで来ているように感じました
説明会では、これらの理由となる数値やグラフなども提示され、とてもいい勉強ができました。
2018-11-19 21:50
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