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ミヤコバンカーの使い方 早く覚えないと! [講演会]

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ハダニは梨の葉を吸汁し、ひどい場合は落葉させてしまう恐ろしい生き物です。彼らにも言い分はあるのでしょうが、できれば畑の中では会いたくない生き物です。こんな彼らを撃退してくれると期待されているのが「ミヤコカブリダニ」です。同じダニで有りながら、肉食でハダニをバリバリ食べてしまうスナイパーです。「ミヤコカブリダニ」を使った生物農薬であるミヤコバンカーの使い方の講演会がありました。とても興味深い話でした。




生物資材は使い方を誤ると、効果が極端に落ちてしまいます。ミヤコカブリダニが死んでしまう農薬をまいてしまえば、たちまち効果は劣ってしまいます。

そのために、どのように長く生かすのかのコツを教えていただきました。


苦手なのは

 農薬 雨 乾燥 


好きなのは

 湿度80パーセント以上の環境  

 もじゃもじゃした糸の先で産卵すること


苦手な部分は鎧のような厚いコート紙で防御し、好きな環境は観葉植物の土の代わりにつかうジュエルポリマーパール」で湿度を維持してやり、大切な産卵場所は、黒いフェルトで準備してあげます。

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さて、次に「ミヤコバンカー」利用者が心がけることもたくさんあります。メーカーの技師は無農薬栽培にこだわらないでくださいと言っています。

農薬を2/3~半分に減らし、毎年安定した栽培ができるようにすることを目指してくださいといいます。


これまでの研究で、梨園においてハダニが急増してくるのは7月中旬であると言われています。その予備軍となる6月から7月のハダニを、天敵資材により抑え、ピークを過ぎてからは、通常の防除をして効率的な防除をしましょうということです。私も大賛成です。

 ヨーロッパの農薬メーカーでは10年前からハダニ用農薬の開発をやめてしまったそうです。それは、農薬登録に必要な安全基準が厳しくなっていることと世代交代のスパンの短いハダニは薬剤抵抗性を獲得するのが早いことで、経営が成り立たないと判断したからのようです。振り返ってみるとここ数年、上市されたハダニ用農薬はすべて日本のメーカーです。

 今あるハダニ用農薬の効果を少しでも長く維持するために「ミヤコカブリダニ」を併用した防除体制の確立が急がれています。

 ハダニ対策だけに注力してハダニ以外の虫たちに集中砲火を浴びたのでは栽培として成り立ちません。それらの虫たちにも的確な薬剤や方法で対策するには、観察と農薬に関する知識が必要とされるでしょう。それが農家の本来の姿であるべきだと思います。


 畑の中の草の処理方法も大変重要であると教わりました。

一、除草剤は春夏の生育期間は使用しないこと

二、梨の木の主幹の周りは草刈りをしないこと

三、草は8~10センチ以下には刈り込まないこと


 下草にはハダニが生息しています。餌としていた草が枯れれば、腹を減らしたハダニが樹上に移動してしまいます。以前、下草を刈ると5~7日のうちにハダニは樹上にあがるとハダニの研究者に聞いたことがあります。ハダニの生態も理解しなければならないでしょう。


 全国を回っている技師の方が、ハダニに苦しんでいる地域は限られた地域だとおっしゃっていました。このあたりにも、ハダニの好きな環境、苦手な環境のヒントがあるのかもしれません。


 平成28年から農研機構が主幹となり研究された「土着天敵と天敵製剤<w天敵>を用いた果樹の持続的ハダニ防除体系の確立」が研究期間の3年を終了し、1月24日に研究成果伝達会が開催されました。昨年の11月にも同じ技師の講演を聴講いたしましたが、今回はより自信をもって使い方を指導してくれた気がします。


 天気予報では、春の陽気が続くとのこと、そろそろ栽培計画をきちんと立て、準備を進めたいと思います。


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