赤星病 ビャクシンの小生子はいつまで飛ぶの? [実験]
ほんの少し飛びそうです。
5月14日の観察で、樹上の雨に濡れにくい部分に冬胞子堆が少し残っているからです。95%の冬胞子堆は流亡・落下していますので、ほぼ終焉を迎えた状況です。
ナシ赤星病をできるだけ少ない防除で予防しようと始めた調査なのですが、5月12日一部の畑で発生が確認されました。
現在、品種「稲城」は13枚程度展葉しています。病斑が確認されているのは、先端展葉から5枚手前です。ナシ赤星病は罹病したナシの葉からナシやカリンなどのバラ科植物に感染することはありません。また、殺菌剤が付着している葉には感染しにくいです。更に展葉したばかりの葉に感染しやすい傾向があります(村田.1979)。つまり、病斑のある葉が局所的な場合は、展葉初期のころに感染したと考えられます。今の時期葉は1枚/3日くらいで展葉しますので、15日前に感染し、潜伏期間を経て、1ミリに満たない病斑となったと考えます。
おおよその感染期はこれで判断できますが、気象状況を踏まえて考えると更に正確な感染期が出てきます。
ナシ赤星病の感染には概ね3つの条件があります。
1.冬胞子堆の膨潤度が高くなっていること
2.降雨が6時間以上続くこと
3.気温が15度程度であること(10~20度でも小生子は形成されますが、15度が最も多量に形成されます)
気象庁の府中市のデータを確認してみました
4月30日の午前0時過ぎに降り始めた雨は26時間ほど断続的に降りました。この間の最低気温は12.8度、最高気温は16.3度と非常に条件が整っていました。又前後に長時間降り続く雨はありませんでしたので、この時期に飛散した小生子がナシの葉に到達したと考えられます。
4月10日に十分膨潤した冬胞子堆を調査し、膨潤度90%と投稿しました(関連記事)。この判定については間違いないと思っているのですが、条件が整うことがなく、発症が遅くなったのだと思います。
5月14日に採取した冬胞子堆をスライドグラスに乗せ、湿った脱脂綿と一緒にシャーレの中で、簡易的に培養してみると、担子器もみえますので、まだ感染の可能性はあるといえます。とはいえ、殆どの寒天状の冬胞子堆の膨潤体はなくなっていますので大発生にはならないと考えられます。
これらの観察を踏まえ、来年は赤星病の飛散条件にもとづいて農薬の散布をしてゆきたいと思います。
参考文献:村田明夫 千葉農業試験場研究報告 20号 ナシ赤星病の発生予察ならびに防除に関する研究 1979
2019-05-14 15:29
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