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ウメ輪紋ウィルス(PPV)の研究動向を聞いてきました [講演会]

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知人に誘って頂き、樹木医実践技術講座を聴講させて貰いました。
青梅市ではPPVの対応に非常に苦労されていることを新聞などで聞いていました。
梨やりんごには「火傷病」というウィルスが 確認されており、昨年2015年6月には韓国にて感染の報告がされています。
もし、「火傷病」が国内に入った場合どのように対処したら良いのか。又、予防するにはどこまでの注意が必要かを勉強したく話を聞いてきました。
 
一回、入ってしまうととても撲滅が難しいことを知りました。
PPVは穂木、そしてアブラムシが中心となり感染を広げるとのことです
また、感染してしまった樹については、治療することができず、基本的には伐採をして感染源を減らす必要があるようです。
 
興味深かったのは、ウィルスが吸汁するアブラムシの体内で粘り気をつくり、感染しやすくしていること。宿主がなければ、増殖できないウィルスの狡猾さには大変驚きました。
 
また、今回ウメやモモ以外の「サクラ」や「草」などが中間宿主になる可能性を知り、ますます、水際の努力の必要性を感じました。一方で、鋏や果実などからは感染しない事を知りました。正しい知識を身につけ、生産者が危険な行為をしないようにすることが大切では無いでしょうか
 
講義の中で、国外から内緒で持ち込んだ穂木にウィルスがはいっており、重大事になったことがあったそうです。これは外国の話です。産地が狭い範囲で形成される日本の農業にとって、真剣に考えるべき問題です。 
 
 
 
 
 
 
 【以降は私のノートと農水省のHP引用をして作成しています。誤解を招く表現があるかもしれませんのでご了承ください】
 
ppvウメ輪紋ウィルスについて
         西尾健氏
                                                                  平成28年3月12日
果樹の世界二大ウィルスのひとつが「PPV(プラムポックスウィルス)」です
  カンキツトリステザウイルス (Citrus tristeza virus,CTV)
  プラム・ポックス・ウイルス(Plum pox virus、PPV)

PPVの
  歴史
      ブルガリアにて1915年に発見されて以来、100年をかけて世界中に拡散した。
       日本では2009年青梅市にて感染が初めて確認された。
  症状(ウメ)
      感染した実を人間が食べても健康上の影響は無い。
      葉に退色斑点や輪紋が生じる
      花弁にブレーキング症状(斑入り症状)を生じる
      ウメでは果実の顕著な症状は見られていない
      モモやスモモでは果実の表面に輪紋が現れ、商品価値の低下や早期落下が報告されている
      
      ※以上農水省HPより抜粋
      
    葉の部位・季節により濃度が異なる
      4月下旬に最もウィルス濃度が高くなる
      葉の部位により、濃度は異なる
      
  感染経路
    穂木(接ぎ木)
    感染苗(取り木、虫媒介)
    アブラムシによる媒介
      感染から発症までは3年間程度の潜伏期間がある。
      
    ※アブラムシのメカニズム
      ヘルパーコンポーネント~アブラムシが感染樹から吸汁した際、粘り気を作り出すようにしてある仕組み。これにより、感染をし易くするようにウィルスがコントロールしている。
      そのために、鋏や人工的な針などによる摂取では感染しないとされている。
      
    アブラムシの媒介元となる作物
      ●サクラ~オオヤマザクラ・ヤマザクラ・ソメイヨシノ
      ●草~ノボロギク(キク科 キオン属)・アレチボロギク
      ※草に関しては維管束による移動ができない。しかし、感染した草のウィルス濃度が高い部位を吸汁した場合、ウメやモモなどへ媒介することが懸念される
  診断方法
    イムノクロマト
    ic-rt-pcr
    Elaiza
    Lamp
  今後の課題
    兵庫県と大阪府と和歌山県の温度差
      紀州梅の産地和歌山県では、県外からのウメ樹の流入に細心の注意を払い、予防活動を続けている.。兵庫県においても、感染が確認された樹は全て伐採し感染拡大の阻止に努めている。
      一方、大阪府ではPPVの感染拡大防止策をあまり打ち出していない。隣接県毎に対応が異なってしまっては、努力が無駄になることも懸念される。
      
    アメリカではどうなったか
      カリフォルニアのプラムを守るため、近隣州のペンシルベニア州では、感染樹が確認されると、500M以内のウメ・モモを全て伐採して撲滅を果たした。
      
    各国の対応
      共存をめざす国々
      東欧諸国~抵抗性品種
      フランス~検査・伐採・健全苗木
      イギリス~検査・伐採・フリー苗木
      撲滅をめざす国々
      アメリカ・オランダ・スイス・カナダ・日本
      
    PPVの変異が怖い
      PPVには系統があり、現在日本で騒がれているのはPPVーDで感染力はあまり強くない。しかし、PPV-Mは非常に感染力が強く、今後このような系統に変異することも考えられる。

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