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2022年 高尾ぶどうの着色不良の原因を考える [実験]
1、温暖化による、かつてない激しい気象条件 ◆粒が例年より小さかったことについて◆ 特に開花後25日の6月下旬の高温が、葡萄の木に悪い影響をおよぼしたと思っています。
例年のこの時期は、平均気温23度前後、日照時間は平均3から4時間なのに対して、今年は日照12時間以上、平均気温27度以上という過酷な条件となりました。
この時期は果粒肥大のI期となり、軟化期に向けて肥大が進む時期です。異常な高温により光合成に悪影響したのか。乾燥、または高温で根が弱ったのか。具体的な理由は分かりませんが、そのあたりを疑っています。
2、老木や自根樹に対する着果の過多 樹勢に伴った着果数よりも多かったことも考えられる。数年間に渡り弱剪定や夏期剪定を行ったことにより、樹勢が全体的に落ちていることも原因として考えられる。昨年からは1反あたり窒素量を8キロ入れ樹勢回復を試みたが、思ったように反応しなかった。今後は積極的に、台木苗高尾の更新を進めたいと思っています
対策として
1、色に対する意識改革も大切 産地として、真っ黒な葡萄を作るように努力してきたことは素晴らしいことだと思っています。しかし、今年のような、著しく着色が悪い年は、選果のハードルを下げることも必要と考えました。 着色の悪い果実は、よい色だけを選びパック売り、天候による不作を知らせるPOP、加工の勧め、としての販売をいたしました
又、毎年の着色の度合いを記録するために、黒ぶどう用カラーチャートを購入しました。来年からは収穫開始のタイミングと記録のために活かしたいと思っています。カラーチャートは梨の大先輩からアドバイス頂きました。
2,保護袋に色ランクを記載 園地が全体に着色が善しの年は、片っ端から収穫できるため収穫は短時間で済みます。一方、今年は非常に時間がかかる年でした。効率的に収穫するためにすべての房を覆う保護袋にランク付けをしました。広告pop用の顔料マジック(ポスカ)を使い、8月15日にマークしたものは青、18日にマーキングのものはピンクのように色で印字時期を記録できるようにしてみました。
品質のランクについては次のようにしました
肥大・房形が贈答に適するもの
5=着色比較的良く すぐにでも収穫できる房
4=収穫適期ではないが、数日で収穫できそうな着色状況の房
3=房形は良いものの、着色完了までは到達しなそうな房
即売にしか使えない房
9=色は出ているが、パラパラの房 自宅用
8=もう少し待てば売れそうな 自宅用
n=ごま塩的・超バラ付きがある房(使い難い致命的な房)
収穫の際にとても効率が上がりました。
同時にランク3のものは後半色がついてきたが、
それ以下のランクについては着色が進まなかったことを知ることができました。
お客様の予約状況に合わせて「狙いもぎ」もしやすいです
(日曜日は即売が増えるから8.9を集中的に収穫するなど)
この、ポスカマーキングはシャインマスカットのGA処理時期マークにも使えると思います。数か月では顔料は紫外線分解されませんので。何より接ぎ木クリップより安い!
その他・今年気がついたこと
1、園芸用ボルドーは晩腐病予防の効果が示唆されているみたい
簡易雨よけ栽培において被服ビニールを汚さない「園芸ボルドー」が利用されていることを聞き、高尾ぶどうにも導入を試みました。当初、希少な栽培品種である「高尾ぶどう」に対して、薬害を心配する生産者もおりましたが、結果として、悪い影響はみられませんでした。
情報収集のなかで、悪影響どころか、薬害防止用カルシウム剤添加の上で開花前の果穂に散布することで、晩腐病の予防効果が示唆されていることを知りました。天候が不順な近年、菌に対して効果が持続する本剤をうまく取り入れることも価値があるのではないかと思っています。来年度は早期散布で効果を試してみる予定です。
2、着色不良の葡萄でもドライフルーツはかなり美味しい
家庭用オーブンを使って、葡萄のドライフルーツが美味しく作れました
専用の機械のない人も是非試してもらいたいと思います。
3、栽培管理でもうひとつ!「花冠取り機」は超楽〃
花冠取り機 少し改造すると作業効率が良く、粒の先端の汚れを防止できることをインスタグラムで公開してくれた生産者に教えられました。裂果を起こしやすい品種にも効果的だと思いました。来年も利用して経過を観察したいと思っています
決して作柄のよい年ではありませんでしたが、色々なことを試して、今後に活かしてゆきたいと思います。