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「薬剤抵抗性対策の新たな展開」 シンポジウムを覗いてきました [講演会]

 

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元旦に子供と映画にゆき、150円をケチり、一本のアクエリアスを回し飲みしました

1月2日 子供がインフルエンザを発症!翌日、久しぶりの悪寒に病院へ行くと私もインフルエンザ発症。それ以来10日まで自宅静養と、とんだ寝正月になりました

ハダニやコナガのように抵抗性を簡単に身に着けられれば良いのに・・・・ 世代が変わらないんだから無理ですね

日本植物防疫協会主催の「薬剤抵抗性対策の新たな展開」 というシンポジウムに行ってきました。会場には国や各県の農業指導機関・大学関係者・農薬メーカーの方々600名が集まり、とても盛況に開催されました

 農業を営んでいる方は、病害虫の薬剤抵抗性に苦労した経験をお持ちかと思います。

農作物に被害を及ぼす虫に対して農薬をかけます。農薬を被ばくした虫がすべて死滅するかというとそうでもありません。中にはその薬によってダメージを受けない個体が極めて低い確率でいます。このように抵抗性をもっている個体は次回同じ薬をかけても死にません。生き残った個体は子供をつくるかもしれません。これを繰り返すと、特定の薬に抵抗性をもった個体が増えます。いずれ、ほとんどの個体が特定の薬剤では死滅しない集団になります。これをムシが薬剤抵抗性を獲得したといいます。(厳密には殺虫剤の抵抗性獲得には5つ以上のパターンがあるといわれています 【日本植物防疫協会 農薬作用機構分類一覧による】)

こうなると、農薬は薬としての寿命が終わってしまいます。

 これを回避するために、農業者は菌や虫などのどの部分に作用する薬かを鑑み、できるだけ作用点の異なる農薬を順に使うように努力しています。農業者は自治体の指導機関の作成する「防除暦」に基づいて農薬を使用しています。この「防除暦」には指導機関が地域に適合するよう血のにじむ努力のもと作られています

 今回のシンポジウムはこれらの指導者が聞く講演会でした。正直なところ私にはさっぱり理解ができませんでした。 でも、だからこそ、客観的に見える部分もありました。

 

  1. IRACコード(あいらっくこーど) 、FRACコード(フラックコード)は薬剤抵抗性を回避するための殺虫剤(IRAC)、殺菌剤(FRAC)の作用機構の分類グループ。
  2. 薬剤抵抗性対策は減農薬と対峙する
  3. IRACコード、FRACコードが農薬ラベルに印刷されるのはまだまだ先
  4. IRACコード、FRACコードの活用方法は指導機関に普及していない
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①IRACコード(あいらっくこーど) 、FRACコード(フラックコード)は薬剤抵抗性を回避するための殺虫剤(IRAC)、殺菌剤(FRAC)の作用機構の分類グループ。
資料の紹介
一覧表のダウンロード
 http://www.jcpa.or.jp/labo/mechanism.html
スクリーンショット 2017-01-13 20.05.21-22.png
 
 
②薬剤抵抗性対策は減農薬と対峙する
抵抗性を回避するには、作用点の異なる剤を混用することが効果的とのこと。一方、農薬を減らすことを目標とする栽培では、作用点が限られてしまう為、抵抗性が発言しやすくなるのではないかと、私は思う


③IRACコード、FRACコードが農薬ラベルに印刷されるのはまだまだ先
参加者から、農薬容器にコードが印字されるようになるのはいつか?との質問が出た。答えは、制度として発動する目途はたっていないとのこと。国内農薬メーカーではデュポン社が自主的に表示をしている。
私は市場を取り合ってしまうことを危惧しているような気がする。 比較的新しいダニ剤であるスターマイトとダニコングはそれぞれIRACコード 25a と25b。ハダニに苦しむ農家の中には年間で両剤を購入する。しかし、同系統は年一回にしなさいとの指導があれば、どちらかは購入しなくなってしまう。 実際にはこの2剤、作用点は同じものの吸着部位が異なるため交差抵抗性は発現しづらいとのことである(日本農薬カスタマーサービスより)。IRACコード4においてもA~Eまで成分で分類され、それらに交差抵抗性は小さいと発表された。(今シンポジウムより)
これらのように、作用点でコード分類されたとはいえ 、成分によるサブグループ分類は複雑で、生産の現場でコードを活用することは非常にハードルが高い。指導機関が栽培品種、地域特性(気象条件)に応じた防除パターンを準備してもらえれば、ハードルは低くなるのかもしれない。


④IRACコード、FRACコードの活用方法は指導機関に普及していない
会場の県普及員からの切実な意見がでた。
指導機関の現場は人員不足のため、防除暦を作れるような人材が減少している。その中で薬剤抵抗性リスク管理までを、行うことは非常に重圧である。新規殺虫剤を1作で3回使用してしまう生産者もゴロゴロいる事が現状です。もう少し現場にとって現実的なアプローチをしてほしい。
 

10時から18時まで、こんなに難しいシンポジウムははじめてでした。

農業者にできることは、自分だけよければいいのではなく、新規農薬・既存農薬という限りある資源を長く使うためには何をすべきか。意識を持つことだと思っています。一斉防除・防除暦にそった防除・隔年など大きなローテーションなど、資源を長く使う為の手段を、指導機関のもと柔軟にとりいれてゆく気持ちを持たなければいけないと思っています。 


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