梨坊や通信 1 2017年3月 [よりみち]
なしぼうや通信 2017 3月号 毎月5日 発行
今日は二十四節気の啓蟄。そんなことを気にしているのか、草の間から暖かい空気に誘われ蜘蛛が忙しそうに動き回っていました。
さて、3月にはいり暖かい日が続くと、なんとなく忙しい気持ちになってきますが、落ち着いて開花を待ちたいものです。
今月の仕事
1.防除作業の準備
今年は春先の寒の戻りがなかったので、防除機材の凍結による故障は少ないと思います。しかし、肝心なところで駄々をこねるのが道具というものです。早めに動作確認をしておきたいものです。
この時期、ぶどうの苗の定植を行いますので、その際の潅水にスピードスプレーヤを使うと点検を兼ねることができます。バッテリー、本体噴口の均一性など確認できればじゅうぶんではないでしょうか。工夫しながら点検を行いましょう
2.開葯作業の準備
花粉交配には不可欠な受粉用花粉の採取、精製が始まります。
平成26年 韓国ソウルの南地域で梨の火傷病が発生しました。火傷病はリンゴやナシなどに感染し大きな被害を及ぼします。特に花から感染しやすいようです。
感染が確認された産地のナシは全て伐採されました。近年、中国からの輸入花粉の需要が増加していますが本来は花粉も地産地消が安全です。花粉樹の確保を心がけてください
私の地域では彼岸頃に咲くネパールの梨を花粉樹として利用している方が多くおられます。蕾の状態ではマイナス2度程度までは花粉の発芽率には影響ないそうですが、開花直前にこの気温にさらされると、非常に発芽率が落ちます。こんなときは、発芽試験を行いその状況を記載して使用、または保存するようにしましょう。
また、花粉精製を一気に行うために、採取した花を冷蔵保存し、数日してから精製する方がいますが、発芽率が著しく低下しますので、早めに精製するようにしましょう。そのためにも開葯機器は早めに準備しましょう
3.花粉交配.
一般的に15度が梨花粉の発芽温度と言われています。 天気が良くても早朝は気温が低くて交配には向かないという方もおりますが、朝は徐々に気温も上がってきます。以前、試験をしたことがあります。寒天培地に夕方着床した花粉は一晩たっても発芽しませんが、そのまま昼まで放おって置くと発芽します。15度以下では発芽しないかもしれませんが、いずれその温度になった際には発芽するのですから、朝は早めに作業を開始し、夕方は早めに終わらせるほうが効率良いのではないでしょうか
今年は年初から雨や雪が少なく推移しています。こんな年は春先の天気が不安定になることが多いです。交配時期、雨上がりの朝は何時から畑にゆきますか?私はこんな日は5時に起きて、畑に行き棚を叩いて回ります。 雨上がりは花のコンディションがよく、雌しべの先もキラキラ蜜をだしています。非常に受精し易い状態です。早朝に水を落とし、早い時間から交配作業を始めたいものです。 SSで風で落とすのは、満開期では効果がおとります。(花の中に水が残ってしまいます)
田邉賢二先生 は花粉交配についてこうおっしゃいます
「沢山の花粉をつけてあげなさい 花粉が多くつくことによってジベレリンが多量に放出される。之により花粉管の伸びを良くし、細胞分裂を促す」
花粉はケチらないでたっぷりと使用し良い果実をつくりましょう
2017-03-07 13:37
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