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ナシヒメシンクイムシの越冬 [実験]


ナシヒメシンクイの越冬

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今年最後のナシヒメシンクイ 10月5日

去る、10月5日 新高梨の収穫中に排泄の為表面に出てきたナシヒメシンクイ幼虫を見つけました。

梨の収穫も終盤を迎え、時間にも少し余裕ができたので、秋のナシヒメシンクイの秋の生活史を記録しようと捕獲しました。


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蛹化の始まりか? 10月10日

10月10日には、しきりに糸を吐くようになりました。蛹化するのかなと思い、小枝を中に入れてやると、すぐに繭を作りました

蛹になったのだろうか?

 

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蛹化かを確認 10月15日

ちょっとかわいそうですが、繭の中を見てみる事にしました。なんと蛹になっていない。ナシヒメシンクイの越冬は幼虫状態といわれています。ということは何かをきっかけとして蛹にならず幼虫として繭の中で越冬体制に入ったと考えられます。気温の低下と考えるべきなのでしょうか。

 梨には冬の低温要求時間が決まっているため、いくら真冬に気温が上がっても花は咲きません。 一定時間 低温に曝されて、休眠が覚醒した場合にのみ花を咲かせます。同じようにナシヒメシンクイムシもそのようなメカニズムがあるのならば、春先一斉に成虫となり飛び立つはずです。 しかし、実際には春先の発生にはバラツキがあります。

 これは性フェロモンを使ったトラップ(フェロモントラップ)の捕獲状況から判断できます。

 ナシヒメシンクイムシが越冬体制にはいるスイッチは一体何なのでしょうか?

 

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繭を破壊したらどうなるのか

繭って、幼虫が口から出す糸に木のカスや小さいゴミなどを接着して作られます。摂食活動をしなくなっている幼虫は何回くらい糸を出せるのか気になり、繭を破壊してみました

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葉を使って繭のリフォームを成功させていた 11月23日

一か月以上放置した、飼育瓶を開けてみる。繭らしきものが見つからないので、乾燥して死んでしまったかと思っていましたが、筒状になった葉を見つけ、ルーペで確認してみると幼虫は生きていました。なんども繭を作り直す能力があるようです。そして何度つくらせても、幼虫のままです。

 
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ナシ栽培とナシヒメシンクイムシ

今、私の地域で梨に甚大な被害を及ぼす生き物はナミハダニとナシヒメシンクイムシです。

ナシヒメシンクイムシは7ミリ前後の小さい蛾なのです。成虫になると農作物を食害することはなくなりますが幼虫の状態のとき、梨の実に穴をあけて食害します。

性フェロモンを利用した予防。殺虫剤による対処などをしていますが、ひと夏に5世代の発生をする為、完全に防止することは難しく、毎年、誰かが被害を受けています

 

私は、防除のタイミングで効率的に対処できないだろうかと考えています。しかし、うまくゆかないのが現状です。

 

170320_フェロモントラップ.jpgフェロモントラップで日々捕獲された成虫をカウントしていると、3月下旬~4月上旬の第一回発生期には捕獲数のピークを見ることができますが、1世代目 2世代目を経るにつれて鋭角なピークがなくなり、台形のピークになる傾向があります。ピークのはっきりしない発生状況では的確な防除のタイミングを図ることが困難になります。ある時期からの積算気温であれば一番分かりやすいのですが、今のところフェロモントラップの捕獲量をみながら予測することしかできていません。更に、越冬場所がカリン、梅、サクラ、桃など街路樹や一般家庭の庭木のように防除圧の低い場所であるために、初期防除の効果を思うように上げることができません。





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12月20日 川崎市農業技術支援センターに行きました。今年の春、赤星病の発生状況を観察した「カリン」を見ると、樹皮が浮き上がっており、虫糞が少し見えています。ここにも越冬幼虫がいそうだなと、手に取ってみると、やはり。

右写真の幼虫は、ナシヒメシンクイの幼虫とは違うかもしれませんが、かなり若齢の幼虫に見えます。越冬するステージが老齢幼虫でなければ、春の発生が一斉でなくなるのも理由がつきます。ナシヒメシンクイの越冬幼虫を探しつつけようと思います。

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