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試験研究成績発表会 果樹に行ってきました [講演会]

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神奈川県農業技術センターの成績発表会に行ってきました

今回の発表ではナシのジョイント栽培進化形の「JVトレリス」に関することが中心となりました。

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冒頭でニホンナシの栽培面積が最盛期に比べ激減しており、2025年には1/2に2030年には1/3になることが予想される中、原因には栽培管理にかかる時間が大きく関わっているとの指摘がされました。

 そこで、労働時間の50%省力化を目指したプロジェクトが進んでいると報告されました。

ナシは果樹の中でもぶどうについで手間がかかるようです。

今回の発表では、いくつかの省力化の手法が紹介されました。


1.ジョイント接木部分のバンド締め直しを省力化するためにビニールテープで接木をする方法

2.園芸用ゴムバンドを使い、支線と側枝を結束し、紐の食い込み防止としばり治しの省力化

3.jvトレリスに特化した作業台の試作

4.広い樹間を利用した、無人防除機の試作・実演

5.自動収穫ロボットの試作・収穫ビデオ放映


「自動収穫ロボット」なんて夢の夢かと思っていましたが、ロボット収穫に特化した栽培形式をヒトが少し手伝えば実現できるとのことでした。朝起きたら、ロボットが既に収穫を終えていて、すぐに選果作業に入れる夏を思い浮かべるとワクワクしませんか。但し、どうしても木の裏側など狭い場所ではロボットも作業しにくいため、着果部位を工夫することも研究課題とのことです。


定植から収穫までの期間が従来のジョイント栽培より短く、更に高さ3メートルまでを有効に使い、1.4倍の収穫量を安定して確保することをめざす「JVトレリス」は、更に進化しそうな気配でした。

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赤星病 ビャクシンの小生子はいつまで飛ぶの? [実験]

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ほんの少し飛びそうです。


5月14日の観察で、樹上の雨に濡れにくい部分に冬胞子堆が少し残っているからです。95%の冬胞子堆は流亡・落下していますので、ほぼ終焉を迎えた状況です。


ナシ赤星病をできるだけ少ない防除で予防しようと始めた調査なのですが、5月12日一部の畑で発生が確認されました。

現在、品種「稲城」は13枚程度展葉しています。病斑が確認されているのは、先端展葉から5枚手前です。ナシ赤星病は罹病したナシの葉からナシやカリンなどのバラ科植物に感染することはありません。また、殺菌剤が付着している葉には感染しにくいです。更に展葉したばかりの葉に感染しやすい傾向があります(村田.1979)。つまり、病斑のある葉が局所的な場合は、展葉初期のころに感染したと考えられます。今の時期葉は1枚/3日くらいで展葉しますので、15日前に感染し、潜伏期間を経て、1ミリに満たない病斑となったと考えます。

おおよその感染期はこれで判断できますが、気象状況を踏まえて考えると更に正確な感染期が出てきます。


ナシ赤星病の感染には概ね3つの条件があります。

1.冬胞子堆の膨潤度が高くなっていること

2.降雨が6時間以上続くこと

3.気温が15度程度であること(10~20度でも小生子は形成されますが、15度が最も多量に形成されます)


気象庁の府中市のデータを確認してみました

4月30日の午前0時過ぎに降り始めた雨は26時間ほど断続的に降りました。この間の最低気温は12.8度、最高気温は16.3度と非常に条件が整っていました。又前後に長時間降り続く雨はありませんでしたので、この時期に飛散した小生子がナシの葉に到達したと考えられます。



4月10日に十分膨潤した冬胞子堆を調査し、膨潤度90%と投稿しました(関連記事)。この判定については間違いないと思っているのですが、条件が整うことがなく、発症が遅くなったのだと思います。

5月14日に採取した冬胞子堆をスライドグラスに乗せ、湿った脱脂綿と一緒にシャーレの中で、簡易的に培養してみると、担子器もみえますので、まだ感染の可能性はあるといえます。とはいえ、殆どの寒天状の冬胞子堆の膨潤体はなくなっていますので大発生にはならないと考えられます。


これらの観察を踏まえ、来年は赤星病の飛散条件にもとづいて農薬の散布をしてゆきたいと思います。


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参考文献:村田明夫  千葉農業試験場研究報告 20号 ナシ赤星病の発生予察ならびに防除に関する研究 1979

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モモチョッキリゾウムシ [生息するものたち]

久しぶりのシトシト雨の朝となりました。近くの植物園に、いつもの調査に伺うと、見たことのない梨の被害果を発見。

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まるで、プラネタリウムの投影機です。近くにいた生き物の仕業かと調べてみると、間違いないようです。茨城県や長野県では注意を促しているようです。私は、この特徴的な被害果をはじめてみました。

これらを加害した犯人は、モモチョッキリゾウムシです

この時期、一般的な梨農家では殺虫剤が定期的に散布されているので、あまり心配することはなさそうです。しかし、天敵製剤が普及してきており、その保護のために使用できる殺虫剤が制限されてきている場合は、どこかでご対面ということになるかもしてません。

三枚目の写真はモモチョッキリと断定できませんが、ゾウムシの類が吸汁した後と思われます。


金属的に輝く背中の色がとても綺麗で、特徴的なフォルムはとても魅力的ですが、えげつない食べ方をする憎いやつです

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雹が降って一日経つと [実験]

2019/05/04に降った、大粒の雹。翌日になり、被害の状況が明らかになってきます。

大きな被害を受けた畑と殆ど被害がなかった畑は、線を引いたように分かれており、雹の通り道とはこのような状況を言うのだなと感じました。大きな被害を受けた方々には心よりお見舞い申し上げます。



降雹による 葉の欠損20190505.png写真はsml190504-160135_R.JPG、雹によって葉を落とされた梨畑です。改植して、落葉の少ない、右側地面と全体を比べると、降雹の強さを物語っています。下の写真は1センチの雹が15分降り続いた畑です。比較をすれば、雹の量、強さの差が歴然です。雹の状況を聞く中で、2センチの雹が降ったと言う声も多く耳にしましたので、このような被害を受けた場所では桁外れの雹が降っていたのかもしれません。


私の畑にて梨幼果の被害を調べてみました。摘果をしながら、100の幼果を数え、傷がつき、切除した実を数えてみました。

IMG_9729.png一割くらいの幼果に傷がついているようです。中には、割れてしまい、傷が種子近くまでたっしている実があります。えぐれるような、又は割れてしまうような深い傷は、自分の畑では初めて目にしました。摘果作業には例年より注意をはらう必要があり、時間と手間がかかりそうです


 隣県では、雹被害防止のため、多目的防災網の整備が何十年も前から、行われてきました。私たちも、その対策をする時期なのかもしれません。


 摘果により、傷のついていない梨を残して、今年も美味しい梨を作ってゆきたいと思いますが、例年より、収穫量は少なくなってしまいそうです。

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雹が降りました。その前後の体感 [ニュース]

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稲城市矢野口では2019/05/04 15時頃より15分にわたり一センチ大の雹が降りました。
14時30分頃より稲光が始まり、14時50分頃からは遠くから轟音が近づいてきました。
その直後より雹が降り始めた状況です。
15時10分を過ぎると冷たい南風が強くなり、徐々に大粒の雨にかわりました。
15時30分には13度まで気温が下がりました。
その後、16時過ぎには雨もやみ、16時20分現在、風も徐々に収まりつつあります。


私が農業に携わってから、雹の被害を受けたことは2回あります。10年以上前の4月下旬の降雹と2014年の6月13日の降雹です。前者はナシの幼果が傷つき、贈答品としてのナシの量が減り、大きく被害を受けました。後者では被害範囲は小さかったものの、ぶどうにおいて房の片側が傷つき、商品価値を著しく下げてしまいました。


葉が雹に叩き落とされている場所もあります。葉が落ちていない場所もあるものの、被害が表面化するのは数日後からになります。今は擦り傷も目立ちませんが、数日すると黒く変色したり、折れた枝が萎れてきますので、少し不安な時間が続きます。

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